
【取材記事】デジタル体験のその先にー。
LGの日本初の体験型施設「YUMESAKI GALLERY」が伝えたい
未来世代へのメッセージ
みなとみらいエリアで次々とオープンする企業の体験型施設。
今回は、2022年3月1日に開館したLGの「YUMESAKI GALLERY」を訪ねました。
最先端のデジタル技術を通してLGが伝えたいメッセージは? 施設の見どころとコンセプトを、企画責任者と運営担当者の双方にお聞きしました。

みなとみらい線・新高島駅から歩いてすぐの一角にできた、LG YOKOHAMA INNOVATION CENTER。
韓国に本社にもつグローバル企業・LGの日本での本社機能を備えた研究開発機関です。
体験施設「YUMESAKI GALLERY」は、このビルの1階にあります。
<旅立ちの島> タッチパネルでつくる飛行船でバーチャルな世界旅行へ

五つの島を巡る世界・未来の旅をイメージしたこの施設。
一歩中に入ると、白を基調にすっきりとした、どこか“未来”を感じる空間が広がっています。
正面にある「旅立ちの島」を中心に、四方に「色彩の島」「音楽の島」「天文の島」「時間の島」のブースが展開されています。
この施設では、グローバル企業であるLGが、訪れた人が世界中とつながり、そして過去や未来とつながり、未来への希望や夢を描けるような体験を提供しています。

LGの技術を感じる動くディスプレイ。16面のディスプレイが音楽と映像に合わせて30分に一度移動する
ぐるりと館内を見渡していると、「パスポートは持たれましたか?」と案内人の増井麻由子さん。「こちらにどうぞ」と、真ん中の「旅立ちの島」を案内してくれました。
ここでは、タッチパネルを操作しながら、バーチャルな世界旅行を体験できます。コロナ禍で現地を訪れることができなくても、その国への好奇心が湧き起こるような、楽しい仕掛けが凝らされています。
飛行船の形や色、機体をあしらうチャームを選んで自分の飛行船をつくり、旅にまつわるいくつかの質問に答えると旅先が決まり、みなとみらいを出発して世界旅行への出発です。




私が導かれた旅行先の国は、タイでした。
国の人口や通貨など基本情報が画面で紹介され、「ワット・パークナム」「タラートロットファイ・ラチャダー」などタイの3都市を巡りました。
さらに最後のクイズに正解すると、その国のステッカーをもらってパスポートに貼ることができます。


<色彩の島> 自分だけの万華鏡模様をポストカードに

続いて訪れたのは、「色彩の島」。
ここでも、万華鏡の模様づくりを通じて、世界への関心が高まる楽しい趣向が凝らされています。万華鏡の柄は世界中の「花」「スイーツ」「ランドマーク」から選べるようになっていて、「スズランってこの国の花なんだ!」「この建物見てみたい!」などと、高画質の有機LEDディスプレイの美しい画面で、心躍る学びと創作体験ができます。


<音楽の島> 音楽から出会う世界の多様性

「音楽の島」では、「個性あふれる民族楽器の奏でる音楽から世界の多様性と出会い」をテーマに、体と心を動かすデジタルな音楽ゲームを体験できます。


また、自分の中の記憶を音楽にするというもう一つの体験も。
スマートフォンの中の一枚の写真を選び、思い出をひもとくようにいくつかの質問に答えると、一つの曲にたどり着きます。写真に載せたオリジナルの音楽は、スマートフォンにダウンロードして持ち帰ることができます。

子どもがゲームをしているあいだに、大人はもう一方の体験を。そんな配慮も感じる仕掛けもうれしいですね

<天文の島> 自然環境を守るには?デジタル体験で伝える持続可能な社会へのアクション
「天文の島」は、異空間への旅です。
暗闇の中で浮かび上がるフロアマッピングに、天井にはプラネタリウムのような星座が。
曲線のパノラマスクリーンでは、地球環境にまつわるクイズと、持続可能な社会にむけて私たちが取れるアクションを紹介しています。プラスチックのリユースや、植物性のバイオプラスチックの開発など、LGの環境問題への取り組みにもふれられます。




<時間の島> 時空間を行き来するようなデジタル体験を

そして「時間の島」のテーマは、「つなぐ・つながる」。
人と人、過去と現在と未来、現実と仮想、デジタルとアナログ。この島での三つのデジタル体験を通して、LGが時間をどうやって表現しようとしているのでしょう。ぜひ、時空間を行き来するような体験をしてみてください。



体験をサポートしてくれるのが、運営スタッフのみなさんです。
「スタッフはみなこの施設が大好きです。好きにならないと、魅力を伝えることはできないと思っているので、自分の好きな場を極めて!とスタッフに伝えているんです」と運営責任者の増井さん。「気持ちよく入っていただけるように、ウェルカムな雰囲気を大事にしながら、最初の一歩のお手伝いをしたいと思っています」とやわらかな笑顔を見せてくれました。
未来への希望を伝えたい

HS Ad 株式会社 責任者の金英實(キム ヨンシル)さん。
日本に来られる状況になったら、施設を盛り上げるようなイベントを企画したり、他企業の展示施設を見てみたいそう。プライベートでは「鎌倉に行きたい!」と声を弾ませた
YUMESAKI GALLERYは、LGが手がけた日本で初めての体験施設です。
みなとみらいからどんなメッセージを発信しようとしているのか、企画責任者で、韓国にいる金英實(キム ヨンシル)さんに、オンライン取材でお聞きしました。
「海外や韓国国内のこれまでのマーケティング施設では、LGの商品をどうおしゃれに見せるか、どんな誇るべき技術をもっているか、ということにフォーカスしてきましたが、この施設はこれまでのLGの空間プロモーションとは違います。ここでは、企業の歴史や誇りということよりも、未来に対する希望、若い世代への希望をコンセプトとしています」
キムさんから話をお聞きして、あらためて館内を見渡してみると、館内には企業の歴史や最先端の技術の紹介はありません。「YUMESAKI GALLALEY」の施設名にも、LGの名前を入れるかどうか、最後まで議論を重ねて「入れない」決断をしたそうです。
「LGという企業が、日本のみなさんにどのような印象を持たれているのかというと、企業イメージはまだつくられていないのでは、と思うのです。
何をどのように伝えたら、グローバル企業であるLGのアイデンティティを楽しく伝えられるのか、とことん考えてきました。
韓国に限らないことだと思うのですが、若い世代が、以前よりも新たなことへのチャレンジを失っているように感じています。だからこそ、夢を広げられるような、新しい希望のメッセージを届けたいのです。
この社会状況で実際の旅はできなくても、ここで、間接的に世界探検をしてほしい。そして、個人的な体験、クリエイティブな体験を通して、大切な人と過ごす時間や思い出を大切にしてほしいという思いがあります」
「夢が咲く」ー。「YUMESAKI GALLERY」の施設名には、そんな思いが込められているそうです。個人の中にいろんな夢を咲かせる。そして、LGとしての夢を日本で咲かせてみたいのだと。
コロナの中での模索、苦労、挑戦
このビルのプロジェクトが本格的に始動したのが、2020年2月。ちょうど新型コロナウイルスの感染が世界的に広がり始めた時期と重なります。
キムさんは、この展示施設の企画責任者でありながら、一度も現地に足を運べないままオープンを迎えました。
「コンセプトを実現すべく、頭の中で絵を操縦しながらここまでやってきました。日本の協力会社のみなさんとの協議を重ね、多くの協力をいただいたことにとても感謝をしています。LG として日本初の展示館ですので、世代を超えてたくさんの方々に体験していただき、楽しい思い出をつくっていけたらうれしいです」と目を潤ませながら語ってくれました。
YUMESAKI GALLERYでの、わくわくしたり、楽しい!という心が動く体験を通じて、デジタルの最先端の技術が照らす未来を感じました。施設にかかわるみなさんの想いをお聞きしながら、デジタル体験の先にあるあたたかなつながりの可能性も見えたように思います。
夢の種を探しに、ぜひ訪ねてみてください。旅先案内人のみなさんが待っています。
YUMESAKI GALLERY
横浜市西区高島1丁目2-13 LG YOKOHAMA INNOVATION CENTER 1F
開館時間:10:00‐18:00(最終入館17:00)
休館日 :毎週火曜日、年末年始、設備点検日(随時)
入館料 :無料
アクセス:みなとみらい線「新高島」駅 2番出口から徒歩1分、JR・市営地下鉄ブルーライン「高島町」駅 2番出口から徒歩7分、JR・市営地下鉄「横浜」駅 東口から徒歩10分
HP:https://yumesaki-g.com/
電話:045-264-4618(10:00-18:00)