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取材記事

【取材記事】イノベーション都市・横浜から未来技術を発信! 「YOXO FESTIVAL 2023」と横浜未来機構のビジョン 

横浜には、研究機関やスタートアップ企業、大学が多く集積しています。
それらと地域企業の交流による、横浜からイノベーションを生み出すためのアクションが「YOXO(ヨクゾ)」。そしてその仕掛けづくりや伴走を行うのが横浜未来機構です。
YOXOの活動の一つである横浜市主催・横浜未来機構運営のイベント「YOXO FESTIVAL 2023」で体験した未来の技術やYOXOの活動をご紹介します。 

1月27日・28日、クイーンズスクエア横浜やランドマークプラザ、新都市プラザ、桜木町駅前広場などを会場に、企業や学校、個人がさまざまな未来技術を展示する「YOXO FESTIVAL 2023 ~横浜でみらい体験~」が開催されました。
既にまちなかで活用され始めているものから未来の生活を大きく変えそうなものまで、体験してきたユニークな技術の一部をご紹介! 

まちなかで気軽に利用できる未来ももうすぐ! 
マクニカのNAVYA自動運転バス 

日本丸メモリアルパークでは、「みなとみらいアクティベーションプログラム」の一環として、株式会社マクニカ(港北区)が試乗体験会を実施。同社は、運行状況を遠隔からリアルタイムに監視・管理するシステムを独自に開発し、フランス・NAVYA社の自動運転バスの日本国内での運用・展開を手がけています。

土曜日の整理券は早々に配布終了!
多くの親子連れが自動運転のスムーズさと安全性、NTT Docomoが提供するスマートグラス「Nreal Air(エンリアルエアー)」と組み合わせた未来の観光を体感しました。 

公道での自動運転移動サービスについては、国は2025年までに40カ所、2030年までに100カ所での実現目標を掲げており、まさに導入を進めている最中。 
株式会社マクニカは既に数多くの実証実験を行っており、地元横浜でのトライアルに期待が高まります。

横に大きく開閉するドア。車内には運転席がないので前後の区別がないのが新鮮!EVで走行中も非常に静か 
周囲の環境を認識するセンサー(写真上)と、障害物等の物体を検知するセンサー(写真下)によって、自動運転が安全に走行できる為の、目の役割を果たしている 
クイーンズサークルに設置された自動運転バス監視モニター。
マクニカが作成した地図データ(写真左)には、走行経路やルールなどの情報が入力されている。同じ地図が車内にも設置されており、リアルタイムにルートなどを確認でき、乗客は安心です
株式会社マクニカ
イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業部 部長 
福田 泰之さん

株式会社マクニカの福田さんは、「楽しむためのコンテンツやヘルスケアと結びつけて、手段としての移動だけでなく目的にしていきたい。最先端技術で横浜市の課題を解決し、貢献していきたいですね」 と語ります。

横浜未来機構への期待・想い

私たちは「スマートシティ」というキーワードで活動していますが、一社ではできません。
企業や自治体、大学、地域の皆様と共創して色々な取り組みを実施しながら未来の姿に向けてアップデートしていくために、音頭をとって積極的にほかの組織とつないでいただいたり、警察や港湾局との調整の際に協力いただいたりしています。立ち上げるだけで終わらず積極的に活動するコンソーシアムが地元にあることはとてもありがたいですね。

マスクを着用していてもコミュニケーションがスムーズに! 
京セラの「わかりやすい字幕表示システム」 

音声を認識し、ユニバーサルなフォントでわかりやすい字幕表示

既存のテクノロジーを活用してコロナ禍の課題を解決する装置を開発したのは、みなとみらいに拠点を置く京セラ株式会社。

「わかりやすい字幕表示システム」は、音声をリアルタイムに認識して字幕を表示するシステムです。
小型プロジェクタでスクリーンに投影することで、マスクの着用によって「声が聞こえづらい」「口元が見えにくい」といった会話の障壁を解消します。
また、言語や文字の大きさを切り替えることもでき、役所やホテルなどの窓口業務での活用が期待されます。中区役所で実証実験を行い、現在、製品化を目指しているそうです。 

ボードが透明なので、互いの顔を見ながら会話できる
スイッチボードでは7つの外国語に対応、リアルタイムで翻訳して表示できる
キーワードを話すと、事前に登録しておいた写真や動画、図解を呼び出すことも
京セラ株式会社
システム研究開発統括部 コミュニケーションシステム研究開発部
(左)責任者 福繁 竜也さん
(右)大森 唯史さん

横浜未来機構への期待・想い

横浜市に集積する周辺企業の研究開発拠点などと一層の交流を図ることを目的に横浜未来機構に参加しました。
地域の課題を知って、京セラの提供できるリソースがあれば一緒に課題解決を進めたいと考えています。そのための、さまざまなステークホルダーを結びつける触媒として支援・援助・場の提供等を期待しています。

手を動かせるのはなぜ?うまくバランスが取れるのはなぜ?
ヒトの不思議な仕組みを体験 

島研究室のAIの特徴は、分からないことは分からないと言える「未知検知」ができることだそう(KISTECプロジェクト)

横浜国立大学大学院環境情報研究院の島研究室と大学発のベンチャー・UNTRACKED株式会社では、「成長したり衰えたり自然に目の前の物を取れたりといった、人間のメカニズムを明らかにし、それをうまく使って人を支援する」ための研究・開発に取り組んでいます。

今回の出展では、ライトタッチ現象(人間が指先で軽く物体に触れると姿勢が安定する現象)に基づいた世界初の転倒予防・リスク検査(立位年齢®測定)や、筋電位信号(筋肉が動いたときに発生する小さな電気)を読み取るセンサーによるロボットハンド制御のデモンストレーションを実施。独自のAIの開発やロボットなどハードの開発、それらを利用したリハビリテーション支援の研究など、さまざまな分野をカバーする研究・事業について教えていただきました。 

各筋肉の動きをAIが判断し、ロボットを制御 。応用すれば、切断者のための義手や、目尻の動き(表情筋)でロボットをコントロールして食事をとることなどができるそう
ライトタッチ現象と身体の反応から診断する転倒予防・リスク検査(立位年齢®測定)
注意機能を測るゲームコーナー
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 社会環境と情報部門(情報環境専攻) 
(中央)准教授 島 圭介先生
(左)助教 迎田 隆幸先生
(右)助教 坂田 茉実先生

横浜未来機構への期待・想い

展示会などで専門家以外の人に研究をわかりやすく説明することと、作ったものがデモの現場に持っていってちゃんと動くということはすごく大事です。そこでフィードバックをもらい改善していくというプロセスも重要なので、イベントにはどんどん参加して、一緒に盛り上げていきたいです。
技術の社会実装のための助成金の紹介や勉強会、人材育成・派遣、広報などを支援いただければ嬉しいですね。

イノベーティブなビジネスを応援し、一緒に楽しむまちに 

横浜未来機構事務局の大橋さんに、「YOXO FESTIVAL 2023」やYOXO自体の趣旨・今後の展望について、伺いました。 

横浜未来機構 事務局 次長
大橋 直之さん

「『YOXO FESTIVAL』の目的の一つは、開発した人自身が、作りたての新製品や新サービス、あるいは試作段階のものを持ち寄り、説明し、ビジネスパーソン同士、見て・さわって・交流することです。
もう一つはBtoC、消費者・一般市民の方から未来のビジネスモデルにどのような反応があるのか、どんな課題があるのかを見つけることです。

交流には作り手の顔が見えることが大事と考え、出展者の所在地を各ブースに明示し、市内でこんなにたくさんの技術が生まれていることを知っていただけるようにしました。 

まちなかを巡りながら新しい技術でワクワクする未来を感じられるような、横浜ならではの体験に、多くの市民の皆様のニーズがあることがわかりました。
今後は、次の世代の育成に貢献したいという大人と子どもたちをうまくつないでいくことにも注力したいと思います。10年後20年後には、今の子どもたちが逆に展示する側になっているかもしれませんね。 

今回出展している企業や個人の方たちのように、横浜にはイノベーティブなマインドを持つ人はたくさんいます。ただ作り手だけで頭を捻って考えていても、なかなか前には進みません。新しいモノ・コトづくりをまち全体で応援し一緒に楽しむ、ビジネスと市民が良い形で交わって、横浜から世の中にないものがどんどん生まれていくようなムーブメントを目指していきたいと考えています。

企業のリソースをサポートするだけでなく、次の世代につながるような循環のあるイノベーション都市としての横浜を活性化し、市民の方にも新しいものを生み出すまちなんだと改めて認識していただくこともYOXOの役割です。
今後は、横浜にこれだけたくさんいる新しいもの好きな方々から、試算品へのフィードバックやエビデンスを得られるような、ビジネスに役立つ仕掛けも考えていきたいです。 

今回みなとみらいだけでなく横浜駅東口や関内も会場になりましたが、横浜都心臨海部が面になって、クリエイティブなことを盛り上げていきたいですね」 

会員制の団体ながら、パブリックな設立趣旨を持ち、多くの人の交わりを生み出す横浜未来機構。
横浜・みなとみらいから、どのような未来技術が生まれるのか楽しみですね。 

YOXO FESTIVAL 2023 フォトギャラリー